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情報を記録する媒体は長い間、紙が使用されてきましたが、近代になって様々な記録媒体(記録メディア)が開発されてきました。これらの記録媒体の情報を維持し続けるには、記録媒体ごとの様々な保存環境を満たさなければなりません。記録媒体ごとに保存に適する温度と湿度の条件をまとめてみました。

※JISの規格によって、中期・長期・永久の使い方は用語の定義が異なります。JIS Z 6017では光ディスクの長期保存は10年から30年を示しますが、JIS Z 6009ではマイクロフィルムの長期保存は100年、永久保存は500年以上を示しています。

情報には、10年程度の保存で十分な情報から永久保存が望まれる情報、多くの人々に公開することが望ましい情報から非公開とすべき情報などがあり、情報の内容に応じて運用方法が異なります。記録媒体には、長所・短所がありますので、情報の内容に応じて適切な保存媒体を選択適切な保存環境の設定定期的な検査必要に応じて媒体移行または複製が必要となります。

このように日常使用しているCD・DVDやカラー写真などの記録媒体でも保存に適した温度・湿度の条件があることがお分かりいただけたかと思います。JIS規格に基づくと夏場にCDを車内に持ち込むこともできなくなりますし、カラー写真は、冷蔵庫に保管しなければならなくなります。四季があり年間を通じて温度変化が激しく、湿度の高い日本においては、記録媒体に適した温度・湿度を維持するのは大変むずかしいことです。また公共施設や企業においては、近年エコ活動により夏場は28℃くらいの温度設定が広がり、図書館・博物館での閉館時、休館日に書庫の空調機器を停止するところも出てきており、この場合急激な温度変化が繰り返されることによって結露が生じやすくなり記録媒体の劣化が非常に早く進行します。

記録媒体は素材や構成によって経年劣化が生じ記録媒体としての性能が低下していきます。記録媒体によって推定寿命は大きく異なります。次に記録媒体の推定寿命をグラフにて比較してみました。

記録媒体それぞれに推定寿命がありますが、記録媒体製造時の条件や保存環境の変化の影響で推定寿命の期間内でも劣化が早く始まる場合があります。情報を後世に確実に伝えるためには記録媒体の劣化の度合い(耐久性)を認識し、保存環境の調整や記録媒体の複製・移行などを行なわなければなりません。そのためには記録媒体の定期検査が必要です。次に媒体の定期検査方法をまとめてみました。

長期保存が必要な情報は、日本図書館協会の資料に基づき考えますと、300年後に情報を残すためには、マイクロフィルムでは、一度も複製する必要はありませんが、CD-Rでは、10回複製が必要になります。また、定期検査を行う場合もマイクロフィルムでは、ルーペで拡大することにより容易に情報を閲覧することができますが、CD-Rでは、10年後の検査状況の想像がつきません。なぜなら、サーバーによるデータ保存、電子メールによるデータの送信、インターネットからのダウンロードによるソフトウェアやコンテンツの購入が主流になりつつある今、CDを代表とする光メディアの必要性は少なくなってきています。10年後CDドライブのついたパソコンがどれだけのオフィスに残っているのか?CD-R内のデータ形式と将来のパソコンのソフトの互換性は?電子記録媒体には多くの不安要素が考えられます。

長期保存が必要な情報は、推定寿命が長いマイクロフィルム選択することにより、複製の可能性が少なくランニングコストが低くてすみます。

その中で閲覧頻度が高い情報は、マイクロフィルム作成と同時に電子データを作成するとコンピュータでの検索・共有も可能となります。

国立国会図書館(貴重書書庫)

国立公文書館(貴重図書)

国立公文書館(一般図書)

※10年から30年程度真正性・見読性を保証できる保存条件

Audio&Videotape じょうずな使用法・保存法ハンドブック

(日本磁気メディア工業会)

IFLA図書館資料の予防的保存対策の原則

防ぐ技術・直す技術ー紙資料保存マニュアル

(日本図書館協会資料保存委員会)

JIS Z 6017 電子化文書の長期保存方法

JIS Z 6009 銀-ゼラチンマイクロフィルムの処理および保存方法

JIS K 7642 写真-写真印画の保存方法

JIS K 7641 写真-現像処理済み安全写真フィルム保存方法

JIS Z 6009 銀-ゼラチンマイクロフィルムの処理および保存方法

※中期保存条件とは最低10年間の保存条件

※永久保存条件とは永久的価値をもつ記録の保存条件

(期待寿命の長さ500年以上の保存)

JIS K 7641 写真-現像処理済み安全写真フィルム保存方法

※長期保存条件とは500年よい品質に保つための条件

※中期保存条件とは最低10年よい品質に保つための条件

JIS K 7642 写真-写真印画の保存方法

※中期保存条件とは最低10年間の保存条件

※長期保存条件とは永遠の価値をもつ記録の保存条件

長期保存の24時間以内の変動幅は、±2℃ ±5%

※中期保存の24時間以内の変動幅は、±5℃±10%

長期保存の24時間以内の変動幅は、±2℃・±5%

中期保存の24時間以内の変動幅は、±5℃ ±10%

IFLA図書館資料の予防的保存対策の原則

光ディスクの取扱上の注意

(日本記録メディア工業会)